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◆AWSコスト管理
AWSでコストに関するサービスとしては「AWS Cost Explorer」や「AWS Budgets」が挙げられます。それぞれ2章で取り上げたサービスにはありますが、改めて復習しましょう。
◆AWS Cost Explorer
AWS Cost ExplorerとはAWS全体の利用料金等を時系列順でAWSマネジメントコンソールの画面に可視化するサービスです。
デフォルトでは無効化されているサービスですが、無料で利用することができるサービスです。
■可視化パターン※New
Cost Explorerではコストを把握しやすくするために、複数の表示形式があります。



・AWS Markeplace
AWS Markeplaceでの購入や消費に関してのレポートを確認することができます。

・日別コスト
オプションの設定では過去6か月まで遡り、各サービス別でコストを確認することができます。


・連結アカウント別の月別コスト
アカウントを複数使用している場合は、メインのアカウントで他のアカウントのコストを確認することができます。
・サービス別の月別コスト
サービスごとのレポートを確認することができます。
・毎月のEC2実行時間のコストと使用状況
現在使用しているインスタンスの消費量が表示されます。
◆AWS Budgets
AWS Budgetsは予め設定した予算(閾値)に対してアラートを通知することができるサービスです。
AWSはサービスの多くに従量課金制の料金プランが用いられていることから気が付かないうちに高額請求が来る可能性があります。それを防ぐために請求額に閾値を設けて利用者にアラート通知をしてくれるのがAWS Budgetsです。
■AWS Budgetsの特徴
・予算の作成や監視範囲を設定できる
AWS Budgetsでは予算の作成や監視する範囲などを設定することができます。予算は月別以外に日別・四半期別・年単位と選択可能です。
監視する範囲はサービス・リージョン・インスタンス・AZ等、詳細なフィルタリングが可能です。
・AWS Cost Explorerとの統合
AWS BudgetsではAWS Cost Explorerと統合することができ、コスト使用状況やそれに影響している原因を簡単に確認・分析することができます。


・複数のアラート通知設定が可能
コストと使用状況が閾値を超えるか超えそうになった時にEメール・Amazon SNSから通知を受け取ることができます。
・予算アクション
アラートの閾値が超えた場合にアクションを設定することができます。具体的にはEC2インスタンスの停止等が可能で、設定した予算を超えた場合はそれ以上課金されないように調整することが可能です。
アクションの設定にはAWS Budgetsがアクションを実行できるようにアクセス権を付与されたIAMロールのアタッチが必要です。
・Budgets reportsによる予算レポートの作成と配信
Budgets reportsでは設定した頻度で予算状況のレポートを配信する設定ができます。頻度は日・週・月ごとに選択が可能で、週・月ごとではさらに詳細な曜日や日付を選択することが可能で、その時点での使用状況をメールで配信されます。
◆Savings Plans
EC2インスタンスはリザーブドインスタンスやスポットインスタンスを利用することでコストを削減することができますが、それ以外に定常的に利用するオンデマンドインスタンスやサーバーレスサービスのコストを削減することができる設定がSavings Plansです。
例としてEC2インスタンスでは1年か3年を選択し、1時間辺り何ドル分のコストを利用するかを確約することで最大72%の割引を受けることができます。なお、指定した分を超えた場合は通常のオンデマンド料金となります。
■選択できるプラン
Savings Plansでは利用するサービス別に複数のプランが存在します。
・EC2 instance Savings Plans
EC2インスタンスに適用することができる割引プランで、最も割引率が高くなります。同一リージョン内のインスタンスファミリーに対して自動で適用されます。
・Compute Savings Plans
最も柔軟なプランで、EC2・Fargate・Lambda向けの割引プランです。リージョン・AZ・インスタンスファミリー・サイズ問わず適用することができます。
・Amazon SageMaker Savings Plans
機械学習向けのサービスであるAmazon SageMakerに対する割引プランで、リージョン等問わずに各MLインスタンスに適用されます。
■Savings Plansの利用方法
Savings PlansはAWS Cost Explorerの左ペインから利用開始でき、その機能を使用しパフォーマンスレポートや予算アラートを管理できます。
【イラストスペース】
Savings PlansのTOP画面
◆AWS Cost and Usage Report
AWS Cost and Usage Reportは、AWSの利用料金と使用状況のもっとも詳細なデータが含まれたレポートを出力する機能です。時間単位、日単位、月単位など任意の時間ベースまたは、タグベースでコストを集計し、csv形式のレポートファイルをS3バケットに出力します。このレポートは1日に1回更新されます。
AWS Cost and Usage Reportは、Cost Exploerの簡易的な分析とは異なり、コスト発生の要因など詳細に記述されています。 単一のアカウントでも複数のアカウントでもどちらのケースでもすべてのコストをアカウント単位で細かく集計できるようになるため、詳細なコスト分析がしたいというケースで利用します。
■AWS Cost and Usage Reportの利用シーン
AWS Cost and Usage Reportの主な利用シーンは次のようなものがあります。
・メンバーアカウントのコストを一元管理
AWS Organizationsを管理しているアカウントにAWS Cost and usage Reportを管理アカウントにセットアップすることでメンバーアカウントのコストをすべて、アカウント管理で管理する際に利用できます。アカウントが数十台にわたる場合でも、横断的なコスト分析が可能です。
またAmazon AthenaやAmazon Quicksightとも連携することで、分析、可視化をサポートします。